オンライン診療は、スマートフォンやパソコンなどの情報通信機器を使い、医師が患者様を診察する仕組みです。通院負担の軽減、慢性疾患の継続診療、検査結果説明、在宅医療のフォローなど、医療機関と患者様の双方にとって活用しやすい場面があります。
一方で、オンライン診療は対面診療を完全に置き換えるものではありません。触診や検査、処置ができないため、医師が得られる情報には限りがあります。症状や診療内容によっては、オンライン診療ではなく対面診療へ切り替える判断が必要です。
この記事では、オンライン診療の基本的な仕組み、メリット、注意点、導入手順、運用フロー、システム選定のポイントなどを解説します。
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オンライン診療とは
オンライン診療とは、医師と患者様がスマートフォン、タブレット、パソコンなどを通じて、映像や音声を用いて診療を行う方法です。医療機関に来院せずに診察を受けられるため、通院が難しい患者様や、状態が安定している再診患者様のフォローに活用されることがあります。
スマートフォンやパソコンを使って行う診療
オンライン診療では、患者様が自宅や職場などからビデオ通話を通じて医師の診察を受けます。自宅や職場などで受診する場合でも、診療内容が第三者に聞こえない環境、通信が安定した環境、個人情報・医療情報を適切に扱える環境を確保することが重要です。予約、問診、本人確認、診察、決済、処方箋の取り扱いまでをオンライン診療システム上で行うケースもあります。
医療機関側では、オンライン診療の予約枠を設定し、事前問診や本人確認を行ったうえで診察を実施します。診察後は、会計、処方、薬局連携、次回予約などの流れを整える必要があります。
対面診療と組み合わせて行うことが基本
オンライン診療は便利な診療方法ですが、対面診療と同じ情報を得られるわけではありません。画面越しの診察では、触診、聴診、検査、処置などができないため、医師が確認できる情報は限定されます。
そのため、オンライン診療は対面診療と適切に組み合わせて行うことが基本です。医師がオンライン診療では十分な診療が難しいと判断した場合は、速やかに対面診療を案内する体制を整えておく必要があります。
<注意点>
オンライン診療は、すべての疾患や症状に適しているわけではありません。急性症状、重症化リスクがある症状、検査や処置が必要な症状では、対面診療が必要になる場合があります。オンライン診療を導入する際は、対象患者様や対象疾患をあらかじめ整理しておきましょう。
オンライン診療と電話診療の違い
オンライン診療は、原則として映像と音声を用いて医師と患者様がやり取りする診療です。一方、電話診療は音声のみで行われるため、患者様の表情や外観、呼吸状態、皮膚の状態などを確認しにくいという違いがあります。
オンライン診療では、映像を通じて患者様の様子を確認できるため、電話のみのやり取りよりも得られる情報が多くなります。ただし、映像がある場合でも、対面診療に比べると確認できる情報には限界があります。
なお、新型コロナウイルス感染症流行下に認められていた電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いは終了しています。現在の運用では、過去の特例と混同せず、最新の指針や通知に沿ってオンライン診療と電話診療の扱いを確認しましょう。
オンライン服薬指導との関係
オンライン診療で薬が処方される場合、処方箋の取り扱いや薬局との連携も重要です。患者様が薬局で薬を受け取る場合もあれば、薬局によるオンライン服薬指導を受け、自宅などで薬を受け取る流れを選択できる場合もあります。
医療機関側では、処方箋をどの薬局へ送るのか、患者様にどのように説明するのか、薬局からの問い合わせにどう対応するのかを事前に決めておく必要があります。オンライン診療は、診察だけでなく、処方、服薬指導、薬の受け取りまでを含めて設計することが大切です。
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オンライン診療が注目される背景
オンライン診療が注目される背景には、患者様の通院負担、慢性疾患の継続管理、地域医療や在宅医療の課題、医療DXの進展があります。クリニックにとっても、診療メニューや患者様との接点を見直すきっかけになります。
患者様の通院負担を減らすニーズがある
高齢の患者様、仕事で多忙な患者様、育児や介護で外出しにくい患者様、遠方に住む患者様にとって、通院は大きな負担になることがあります。移動時間、交通費、待ち時間、付き添いの調整などが受診継続の妨げになる場合もあります。
オンライン診療を適切に活用できれば、患者様が自宅などから診察を受けられるため、通院負担を軽減しやすくなります。ただし、症状や診療内容によっては来院が必要なため、オンライン診療と対面診療の使い分けが重要です。
再診・慢性疾患フォローの選択肢になる
高血圧、脂質異常症、糖尿病など、状態が安定している慢性疾患の再診では、オンライン診療を活用できる場合があります。検査結果や家庭血圧、服薬状況、生活習慣を確認しながら、必要に応じて処方継続や生活指導を行う運用が考えられます。
ただし、慢性疾患であっても、検査が必要な時期や症状の変化がある場合は対面診療が必要です。オンライン診療を導入する際は、「どの患者様に、どのタイミングで案内するか」を明確にしておく必要があります。
医療DXの一環として選択肢になっている
オンライン診療は、単体のビデオ通話機能だけで成り立つものではありません。予約システム、Web問診、電子カルテ、レセコン、キャッシュレス決済、オンライン服薬指導などと組み合わせて運用することで、患者様導線と医療機関側の業務を整理しやすくなります。
医療DXを検討する流れの中で、オンライン診療は受診導線を広げる選択肢の一つになります。患者様が予約しやすく、医療機関が事前情報を確認しやすく、診察後の会計や処方まで滞りなく進められる設計にすると、導入後の運用を考えやすくなります。
地域医療や在宅医療でも活用が期待される
地域によっては、医療機関へのアクセスが難しい患者様や、通院に家族の付き添いが必要な患者様もいます。在宅医療では、訪問診療の合間の相談や、家族への説明、状態確認などでオンライン診療を活用できる場面があります。
ただし、オンライン診療だけで在宅医療や地域医療の課題を解決できるわけではありません。訪問診療、対面診療、地域の医療機関、薬局、介護事業者との連携を踏まえた運用設計が必要です。
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オンライン診療の予約、Web問診、診察、決済までを一つの流れで管理できるため、再診フォローや在宅医療の相談導線を整えたいクリニックにも活用しやすいシステムです。
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オンライン診療のメリット
オンライン診療には、患者様の通院負担軽減や継続受診の支援など、さまざまなメリットがあります。医療機関側にとっても、再診フォローや患者様との接点を広げる選択肢になります。
患者様の移動負担を軽減しやすい
オンライン診療では、患者様が自宅や職場などから診察を受けられるため、医療機関まで移動する負担を減らせる可能性があります。高齢の患者様、公共交通機関の利用が難しい患者様、育児や介護で外出しにくい患者様にとって、受診の選択肢が広がります。
また、待合室での待ち時間を減らしやすいこともメリットです。予約時間に合わせてオンラインで診察を受けられれば、患者様の時間的な負担を抑えやすくなります。
継続受診しやすくなる
慢性疾患の管理では、継続的な受診が重要です。しかし、忙しさや通院負担によって受診間隔が空いてしまう患者様もいます。オンライン診療を選択肢として用意することで、通院が難しい時期でも医師に相談しやすくなる可能性があります。
特に、状態が安定している患者様の再診、検査結果の説明、服薬状況の確認、生活指導などでは、対面診療とオンライン診療を組み合わせる運用が考えられます。
院内混雑の緩和につながる可能性がある
一部の再診や説明をオンライン診療で行うことで、待合室の混雑を緩和できる可能性があります。院内での滞在人数を調整しやすくなり、受付や会計の負担軽減につながる場合もあります。
ただし、オンライン診療の予約管理や事前確認、決済、処方対応が増えるため、スタッフの業務が別の形で増えることもあります。院内混雑の緩和を目的に導入する場合でも、受付・事務業務を含めた運用設計が必要です。
医療機関の診療メニューを広げやすい
オンライン診療を導入すると、再診フォロー、検査結果説明、服薬状況の確認、生活指導、在宅患者様への相談など、診療メニューの幅を広げやすくなります。患者様の状態や診療内容に応じて、対面診療とオンライン診療を使い分けることで、柔軟な診療体制を作りやすくなります。
ただし、オンライン診療を広告する際は、過度な表現を避ける必要があります。「必ず通院不要になる」「すべてオンラインで完結する」といった誤解を招く表現は避け、対象となる患者様や診療内容を明確に伝えましょう。
感染対策や体調不良時の相談導線になる
発熱や感染症が疑われる場合、まずオンラインで相談し、対面受診の必要性や来院方法を案内する運用が考えられます。院内感染対策や待合室の混雑対策の一部として、来院前の相談導線を整えることは有用です。
ただし、発熱、呼吸苦、強い痛み、意識障害など、緊急性がある症状では、オンライン診療ではなく速やかな対面診療や救急受診が必要になる場合があります。患者様に対しても、オンライン診療で対応できる範囲とできない範囲を明確に伝えることが重要です。
<オンライン診療で期待できること>
- 患者様の通院時間や移動負担を軽減しやすい
- 慢性疾患などの継続受診を支援しやすい
- 一部診療をオンライン化することで院内混雑を調整しやすい
- 検査結果説明や服薬フォローなどの診療メニューを設計しやすい
- 来院前相談や在宅医療のフォローに活用できる場合がある
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診療費や薬剤費などとは別に、患者様へシステム利用料を請求する必要がないため、オンライン診療の案内もしやすくなります。
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オンライン診療のデメリット・注意点
オンライン診療にはメリットがある一方で、診療上・運用上の注意点もあります。導入前に、オンライン診療でできることとできないことを整理し、患者様にもわかりやすく説明できる体制を整える必要があります。
触診や検査ができない
オンライン診療では、医師が患者様に直接触れて診察することができません。触診、聴診、血液検査、画像検査、処置などが必要な場合は、対面診療が必要になります。
画面越しに確認できる情報には限りがあるため、医師が「オンライン診療では判断に必要な情報が不足している」と判断した場合は、対面診療への切り替えを案内する必要があります。
すべての患者様・疾患に適しているわけではない
オンライン診療は、症状が安定している再診患者様や、検査結果説明、服薬フォローなどでは活用しやすい場合があります。一方で、急性症状、症状悪化、強い痛み、呼吸苦、外傷、発熱、脱水、意識状態の変化などでは、オンライン診療だけで対応することが適切でない場合があります。
医療機関側では、オンライン診療の対象となる患者様や疾患を事前に定義し、予約時に確認できる仕組みを整えることが大切です。
本人確認や患者様への説明が必要
オンライン診療では、対面診療と異なり、画面越しに本人確認を行います。保険証、資格確認、本人確認書類、患者様の氏名・生年月日など、医療機関として確認すべき項目を明確にしておく必要があります。初診からオンライン診療を行う場合は、顔写真付き身分証明書や複数書類の確認など、指針に沿った本人確認手順を院内で統一しましょう。
また、患者様側の確認だけでなく、医師側も必要に応じて本人証明や資格確認の方法を整えておく必要があります。オンライン診療の実施方法、費用、通信環境、処方、対面診療への切り替え、個人情報の取り扱い、医師・患者様双方の本人確認について、説明文や同意取得の方法を事前に整備しておくと運用しやすくなります。
処方に制限や注意がある
オンライン診療で薬を処方する場合は、患者様の状態、診療内容、初診か再診か、薬剤の種類などを踏まえて慎重に判断する必要があります。
処方箋の送付先、薬局との連携、オンライン服薬指導の有無、薬の受け取り方法についても、患者様にわかりやすく案内できるようにしておきましょう。処方できる薬剤や日数は、診療内容や患者様の情報把握状況、最新の指針・診療報酬上の要件によって異なるため、院内で確認ルールを決めておくことが大切です。
通信環境やシステムトラブルへの備えが必要
オンライン診療では、インターネット回線、端末、カメラ、マイク、アプリやブラウザの設定などが必要です。通信不良や操作トラブルが起きると、診療が予定どおり進まないことがあります。
医療機関側では、通信が切れた場合の再接続方法、電話連絡への切り替え、予約時間の変更、対面受診への案内など、トラブル時の対応手順を決めておく必要があります。患者様向けにも、事前に利用環境や操作方法を案内しておくとよいでしょう。
個人情報・医療情報の管理が重要
オンライン診療では、患者様の氏名、症状、診療内容、処方情報、決済情報などの個人情報・医療情報を扱います。そのため、通信の安全性、アクセス権限、ログ管理、端末管理、録画・録音の有無、データ保存先などを確認する必要があります。
オンライン診療システムを利用する場合は、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版や、医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストを踏まえ、サービス提供会社の安全管理体制、委託契約、障害時対応、バックアップ、データの二次利用の有無、BCPとの整合性などを確認しましょう。
<注意点>
オンライン診療では、診療情報を外部システムやクラウド上で扱う場合があります。導入前に、アクセス管理、ログ管理、端末管理、委託先管理、バックアップ、障害時対応を確認し、医療情報システムとして適切に運用できる体制を整えましょう。
オンライン診療に向いている診療内容・向いていない診療内容
オンライン診療を導入する際は、どの診療内容に向いているのか、どのような場合に慎重な判断が必要なのかを整理することが重要です。対象を明確にしないまま導入すると、予約時や診療時に判断がばらつきやすくなります。
向いている診療内容
オンライン診療に向いているのは、医師が患者様の状態を把握しやすく、オンラインでも安全に診療しやすい場面です。たとえば、状態が安定している慢性疾患の再診、検査結果説明、薬の継続相談、生活指導、軽症相談などが考えられます。
ただし、同じ疾患名であっても、患者様の状態によってオンライン診療が適さない場合があります。オンライン診療の可否は、診療科や病名だけでなく、症状、経過、検査の必要性、緊急性を踏まえて判断する必要があります。
慎重に判断すべき診療内容
初診、急性症状、発熱、呼吸苦、強い痛み、外傷、意識障害、脱水が疑われる場合、検査や処置が必要な場合は慎重な判断が必要です。オンライン診療で症状を確認した結果、対面診療や救急受診を案内すべきケースもあります。
特に、小児、高齢者、妊娠中の患者様、基礎疾患のある患者様では、症状の変化を見逃さないよう注意が必要です。オンライン診療を予約できる条件や、対面診療へ切り替える条件を院内で共有しておきましょう。
対面診療へ切り替えるべきケース
オンライン診療中に、医師が検査や処置が必要と判断した場合、症状の悪化が疑われる場合、画面越しでは十分な情報が得られない場合は、対面診療へ切り替える必要があります。
患者様にも、「オンライン診療を予約した場合でも、診療内容によっては来院をお願いすることがあります」と事前に説明しておくことが大切です。対面診療への切り替えを前提にした運用を設計することで、患者様との認識違いを減らしやすくなります。
診療科別の活用例
- 【内科】
-
- 状態が安定している生活習慣病の再診
- 検査結果説明や服薬状況の確認
- 来院前相談や対面受診の要否確認
- 【皮膚科】
-
- 再診での経過確認
- 外用薬の使用状況や副作用の確認
- 症状悪化時は対面診療へ切り替える運用
- 【小児科】
-
- 保護者からの相談や受診前確認
- 軽症時の経過確認
- 発熱、脱水、呼吸状態などは慎重に判断
- 【精神科・心療内科】
-
- 継続診療や状態確認
- 服薬状況や生活状況の確認
- 自傷他害リスクや状態変化には慎重な判断が必要
- 【在宅医療】
-
- 訪問診療後のフォロー
- 家族や介護者との相談
- 必要に応じて訪問や対面診療へ切り替える運用
オンライン診療を導入する流れ
オンライン診療を導入する際は、システムを契約する前に、自院でどのように使うのかを明確にすることが重要です。対象患者様、診療内容、スタッフの役割、患者様への説明、処方、決済までを一連の流れとして設計しましょう。
自院でオンライン診療を行う目的を明確にする
まず、オンライン診療を導入する目的を整理します。たとえば、慢性疾患の再診フォロー、検査結果説明、在宅患者様への相談、通院困難な患者様への支援、院内混雑の調整などが考えられます。
目的が曖昧なまま導入すると、どの患者様に案内すべきか、どの診療内容に使うべきかが不明確になります。導入前に「何を改善したいのか」を院内で共有しましょう。
対象患者様と対象疾患を決める
次に、オンライン診療の対象となる患者様や疾患を決めます。状態が安定している再診患者様に限定するのか、初診前の相談も受けるのか、慢性疾患や検査結果説明に限定するのかなど、自院の診療方針に合わせて整理します。
対象を明確にすることで、受付スタッフが予約時に案内しやすくなります。また、オンライン診療では対応が難しい症状についても、対面診療や救急受診を案内する基準を整えておきましょう。
オンライン診療システムを選定する
オンライン診療システムを選ぶ際は、ビデオ通話機能だけでなく、予約、Web問診、本人確認、決済、処方箋管理、電子カルテ連携、セキュリティ、サポート体制を確認します。
既存の電子カルテや予約システムと連携できない場合、二重入力や手作業が増える可能性があります。導入前に、現在の院内システムとの相性を確認しましょう。
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予約、Web問診、オンライン診療、決済までをまとめて利用できます。また、患者様のサービス利用料も無料のため、案内しやすい設計になっています。
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院内フローとスタッフの役割を決める
オンライン診療では、医師だけでなく、受付、看護師、医療事務が関わります。予約受付、事前問診の確認、本人確認、診察前の案内、会計、処方箋送付、薬局対応、問い合わせ対応など、役割を明確にすることが重要です。
たとえば、受付スタッフが予約と本人確認を担当し、医師が診察と処方判断を行い、事務スタッフが会計・処方箋送付・次回予約を担当するなど、院内の人員体制に合わせて設計します。
患者様への説明文・同意・案内を整備する
オンライン診療では、患者様に事前に説明すべき内容が多くあります。利用条件、費用、通信環境、本人確認、診療の限界、対面診療への切り替え、処方、薬の受け取り方法、個人情報の取り扱いをわかりやすく説明できるようにしましょう。
説明文は、ホームページ、予約画面、問診画面、受付案内などに掲載すると、患者様の不安や問い合わせを減らしやすくなります。保険診療と自由診療の区分、システム利用料や通信料、予約料など患者様の負担が発生する場合の扱いも、誤解が生じないように整理しておきましょう。
患者様向け案内文に入れる項目を決める
オンライン診療をスムーズに始めるには、患者様向けの案内文をあらかじめ用意しておくことが有効です。対象となる患者様、予約方法、事前問診、本人確認、利用する端末、通信環境、費用、支払い方法、処方箋の送付先、薬の受け取り方法を整理します。
あわせて、オンライン診療では診療内容によって対面診療へ切り替える場合があること、急性症状や緊急性がある場合は救急受診や対面受診が必要になること、診療を受ける場所ではプライバシーを確保する必要があることも明記しておきましょう。
試験導入して運用を見直す
オンライン診療は、いきなり全診療に広げるのではなく、一部の患者様や一部の診療内容から始めると運用しやすくなります。たとえば、状態が安定している再診患者様、検査結果説明、在宅患者様のフォローなどから試験導入する方法があります。
試験導入後は、予約の取りやすさ、通信トラブル、診察時間、会計処理、処方箋送付、患者様からの問い合わせ、スタッフ負担を確認し、必要に応じて運用を見直しましょう。
導入後に見直したい運用指標
オンライン診療を継続する場合は、導入後の状況を数値と現場感の両方で確認します。予約件数、キャンセル率、通信トラブル件数、診察時間、会計・決済の未収状況、処方箋送付にかかる時間、薬局からの問い合わせ、患者様からの操作問い合わせ、スタッフの作業時間などを見直すと、改善点を把握しやすくなります。
件数だけを見るのではなく、対面診療への切り替えが適切に行われているか、対象患者様の基準が現場で運用できているか、診療計画や説明文が更新されているかも確認しましょう。
オンライン診療の基本的な流れ
オンライン診療では、予約から薬の受け取りまでの流れを患者様にわかりやすく案内することが重要です。ここでは、一般的なオンライン診療の流れを整理します。
- 患者様がオンライン診療を予約する
- 事前問診と本人確認を行う
- 予約時間にビデオ通話で診察を受ける
- 診療内容に応じて会計・決済を行う
- 処方がある場合は薬局と連携する
- 必要に応じて次回予約や対面診療を案内する
予約
オンライン診療の予約は、Web予約システムや電話で受け付けます。予約時には、オンライン診療の対象となる患者様かどうか、症状がオンライン診療に適しているか、通信環境があるかを確認します。
予約枠は、対面診療とは別に設定すると管理しやすくなります。オンライン診療の前後に、事前確認や処方対応の時間が必要になるため、対面診療と同じ感覚で予約枠を詰めすぎないよう注意しましょう。
事前問診・本人確認
診察前には、Web問診などを使って症状、既往歴、服薬状況、アレルギー、体温、血圧、検査結果などを確認します。オンライン診療では診察時に得られる情報が限られるため、事前情報の質が重要です。
本人確認では、保険証、資格確認、本人確認書類、患者様情報を確認します。医療機関側で確認手順を統一しておくと、スタッフごとの対応差を減らしやすくなります。
オンライン診察
予約時間になったら、医師がビデオ通話で患者様を診察します。症状、経過、服薬状況、生活状況、必要に応じて画面越しに確認できる所見を確認します。
診察中に、オンライン診療では判断が難しいと感じた場合は、対面診療を案内します。患者様にも、オンライン診療の結果として来院が必要になる可能性があることを事前に説明しておきましょう。
会計・決済
オンライン診療後は、クレジットカード決済、後払い、銀行振込、次回来院時精算など、医療機関が定めた方法で会計を行います。オンライン診療システムに決済機能がある場合は、予約から会計まで一体で管理しやすくなります。
決済方法によっては、未収金管理や返金対応が必要になる場合があります。会計処理の流れは、受付・事務スタッフが迷わず対応できるようにマニュアル化しておきましょう。
処方・服薬指導
薬が処方される場合は、処方箋をどの薬局に送付するのか、患者様がどのように薬を受け取るのかを確認します。オンライン服薬指導を利用する場合は、薬局側の対応状況や患者様の希望も確認します。
処方内容によっては、オンライン診療での処方に注意が必要な場合があります。特に初診からのオンライン診療では、薬剤の種類や患者様情報の把握状況によって処方できない、または慎重な判断が必要になるケースがあります。医師は、患者様の状態や診療内容、制度上のルールを踏まえて判断する必要があります。
次回予約・フォロー
診察後は、次回のオンライン診療または対面診療の予定を案内します。慢性疾患では、次回の検査予定や対面診療が必要な時期を明確に伝えることが重要です。
オンライン診療を継続する場合でも、定期的に対面診療を組み合わせる運用を検討しましょう。オンライン診療だけで長期間フォローするのではなく、患者様の状態に応じて診療方法を見直すことが大切です。
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オンライン診療システムの選び方
オンライン診療システムを選ぶ際は、ビデオ通話ができるかだけで判断しないことが重要です。予約、問診、本人確認、決済、処方、電子カルテ連携、セキュリティ、費用、サポート体制まで総合的に比較しましょう。
予約・問診・ビデオ通話・決済が一体化しているか
予約、事前問診、ビデオ通話、決済が一体化しているシステムは、患者様にとっても医療機関にとっても運用しやすい場合があります。複数のツールを別々に使うと、患者様への案内が複雑になり、スタッフの確認作業も増えやすくなります。
ただし、一体型システムであっても、自院の診療フローに合っているかは確認が必要です。予約枠の設定、問診項目のカスタマイズ、決済方法、処方箋送付の流れを事前に確認しましょう。
電子カルテやレセコンと連携できるか
オンライン診療システムと電子カルテ、レセコンが連携できると、診療記録や会計処理の二重入力を減らしやすくなります。連携できない場合でも運用は可能ですが、スタッフの転記作業が増える可能性があります。
導入前には、現在利用している電子カルテやレセコンとの連携可否、連携費用、設定作業、運用上の制限を確認しましょう。将来的な電子カルテ変更やシステム追加も見据えて比較することが大切です。
患者様が使いやすいか
オンライン診療は、患者様が使いやすいことも重要です。アプリのインストールが必要か、ブラウザで使えるか、スマートフォンに対応しているか、予約から診察までの操作がわかりやすいかを確認しましょう。
高齢の患者様やデジタル操作に不慣れな患者様が多いクリニックでは、操作手順を簡単に説明できることが重要です。患者様向けの案内資料や電話サポートの体制も検討しましょう。
セキュリティ対策が十分か
オンライン診療システムでは、患者様の医療情報や個人情報を扱います。通信の暗号化、アクセス権限、ログ管理、データ保存先、バックアップ、障害時対応、端末管理、委託先管理などを確認しましょう。
医療情報システムの安全管理に関するガイドラインやサイバーセキュリティ対策チェックリストを踏まえ、一般的なビデオ通話ツールと同じ感覚で導入しないことが大切です。サービス提供会社の安全管理体制、委託契約、障害時対応、バックアップ、BCP、データの二次利用の有無も確認しましょう。
費用体系が自院に合っているか
オンライン診療システムの費用は、初期費用、月額費用、利用件数ごとの従量課金、決済手数料、連携費用、サポート費用などに分かれる場合があります。料金表だけでなく、実際の利用件数を想定した総コストで比較しましょう。
オンライン診療の件数が少ない段階では、固定費が負担になる場合があります。一方で、件数が増えると従量課金や決済手数料が大きくなることもあります。自院の診療規模や導入目的に合った費用体系を選ぶことが重要です。
導入費用を比較する際は、システム利用料だけでなく、スタッフ研修、患者様向け案内資料の作成、既存システムとの連携設定、端末や通信環境の整備、薬局連携の手順作成、問い合わせ対応にかかる時間も含めて試算しましょう。
サポート体制があるか
オンライン診療では、医療機関側だけでなく患者様側にも操作トラブルが起こる可能性があります。導入時の設定支援、スタッフ研修、患者様向け案内資料、トラブル時の問い合わせ対応があるかを確認しましょう。
システム導入後も、制度変更、診療報酬改定、機能追加、セキュリティ対応などが必要になる場合があります。長期的に安心して使えるサポート体制かどうかも重要な比較軸です。
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オンライン診療導入時に確認したい制度・ルール
オンライン診療は、医療機関が自由に始めればよいものではありません。厚生労働省の指針、令和8年4月1日から施行されている医療法上のルール、医師向け研修、診療報酬、施設基準、患者様への説明、医療情報の安全管理などを確認する必要があります。
オンライン診療の適切な実施に関する指針
オンライン診療を行う医療機関は、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針(平成30年3月、令和8年4月一部改訂)」を確認する必要があります。指針では、医師と患者様の関係、患者様への説明・同意、診療計画、本人確認、薬剤処方、診察方法、医師・患者様の所在、通信環境、情報セキュリティなどの考え方が示されています。
オンライン診療を導入する際は、指針に沿って院内ルールを整備し、対象患者様、診療内容、対面診療への切り替え基準、急病急変時の対応、薬剤処方、情報セキュリティ上の責任範囲を明確にしましょう。
診療計画で整理したい項目
オンライン診療を実施する場合は、患者様ごとの医学的評価を踏まえ、オンライン診療で行う内容と対面診療を組み合わせる方針を診療計画として整理します。対象疾患、診療内容、対面診療や検査を行う頻度、オンライン診療を行わない条件、対面診療へ切り替える基準、急変時の受診先を明確にしておくことが重要です。
診療計画は、患者様への説明・同意、医師側の判断、スタッフの予約案内に関わります。オンライン診療だけで長期間完結させるのではなく、検査や処置が必要な時期を含めて、対面診療との組み合わせを前提に設計しましょう。
医師向け研修の受講
オンライン診療を実施する医師には、厚生労働省が定めるオンライン診療研修の受講が求められます。医師がオンライン診療の特性、限界、適切な実施方法を理解したうえで診療を行うことが重要です。
医療機関としては、オンライン診療を担当する医師が必要な研修を受けているか、研修修了状況をどのように管理するかを確認しましょう。
医療法上のルールと届出・チェックリスト
オンライン診療については、医療法上の位置づけや届出、基準への対応が重要になります。令和8年4月1日から、オンライン診療に関する医療法上の各種規定が施行されています。医療機関は、通常の医療機関としてオンライン診療を行う場合だけでなく、患者様がオンライン診療を受ける場所として施設を提供する場合の扱いも確認する必要があります。
医療機関は、オンライン診療に関する最新の通知、オンライン診療受診施設の届出、医療機関向けチェックリスト、患者様への説明事項を確認し、自院の運用が基準に沿っているかを点検しましょう。制度は変更される可能性があるため、導入時だけでなく運用中も定期的に確認することが大切です。
診療報酬・施設基準の確認
オンライン診療の診療報酬は、診療内容、患者様の状態、施設基準、届出、算定要件によって異なります。最新の診療報酬や施設基準は、厚生労働省や地方厚生局の情報を確認する必要があります。情報通信機器を用いた診療に係る基準では、対面診療を提供できる体制、必要時に他の保険医療機関と連携できる体制、ウェブサイトでの掲示事項、チェックリストの掲示などが確認事項になります。
診療報酬を誤って理解したまま運用すると、算定漏れや返戻、患者様への説明不足につながる可能性があります。オンライン診療を始める前に、医師、医療事務、レセプト担当者で算定要件、施設基準、ウェブサイト掲示、初診時の向精神薬処方に関する掲示などを確認しておきましょう。
医療広告・自由診療表記への注意
オンライン診療をホームページや広告で案内する場合は、医療広告ガイドラインに配慮する必要があります。医療広告では、患者様が適切に理解・選択できるよう、客観的で正確な情報提供に努めることが重要です。「誰でもオンラインで診療可能」「通院不要」「すぐ薬がもらえる」など、虚偽広告、比較優良広告、誇大広告に該当し得る表現や、患者様に誤解を与える表現は避けましょう。
自由診療でオンライン診療を行う場合は、費用、診療内容、リスク、限界、対面診療が必要になる場合をわかりやすく記載することが重要です。保険診療と自由診療の区分、システム利用料や通信料など患者様の負担が発生する場合の扱いも明確にし、過度な集患表現ではなく、患者様が適切に判断できる情報提供を意識しましょう。
オンライン診療導入前チェックリスト
オンライン診療を導入する前には、診療内容、運用フロー、システム、患者様説明、院内体制を確認しましょう。チェックリストを使って準備状況を整理すると、抜け漏れを防ぎやすくなります。
<導入前に確認したいチェックリスト>
- オンライン診療の対象患者様と対象疾患を定義しているか
- 予約、問診、本人確認、診察、決済、処方の流れを整理しているか
- オンライン診療システムの機能、費用、連携、セキュリティを比較しているか
- 患者様への説明文、同意、診療計画、対面診療への切り替え基準を準備しているか
- 医師、受付、看護師、事務スタッフの役割分担を決めているか
診療内容・対象患者様のチェック
- オンライン診療に適した患者様を定義している
- 対象疾患や診療メニューを決めている
- 初診・再診の扱いを整理している
- 対面診療へ切り替える基準を決めている
- 診療計画に含める項目を整理している
- 急性症状や緊急性がある場合の案内方法を決めている
運用フローのチェック
- 予約方法と予約枠を決めている
- 事前問診と本人確認の手順を決めている
- 診察開始前の案内方法を決めている
- 会計・決済方法を決めている
- 処方箋送付や薬局連携の流れを決めている
- 通信トラブル時の代替手段を決めている
システム選定のチェック
- 予約、問診、ビデオ通話、決済の機能を確認している
- 電子カルテやレセコンとの連携可否を確認している
- 初期費用、月額費用、従量課金、決済手数料を確認している
- 通信暗号化、アクセス権限、ログ管理、データ保存先を確認している
- 医療情報システムの安全管理ガイドラインやサイバーセキュリティ対策チェックリストを確認している
- 導入支援やトラブル時サポートの有無を確認している
患者様説明のチェック
- オンライン診療の対象条件を説明できる
- 費用や支払い方法を説明できる
- 通信環境や端末操作を案内できる
- 対面診療へ切り替える場合があることを説明できる
- 個人情報・医療情報の取り扱いを説明できる
- 本人確認、医師側の本人証明、診療を受ける場所のプライバシー条件を説明できる
- 薬の受け取り方法や薬局連携を説明できる
院内体制のチェック
- オンライン診療を担当する医師を決めている
- 医師向け研修の受講状況を確認している
- 施設基準、届出、ウェブサイト掲示事項を確認している
- 受付、看護師、事務スタッフの役割を決めている
- レセプトや診療報酬の確認担当を決めている
- トラブル時の連絡先や対応マニュアルを整備している
まとめ
オンライン診療は、患者様の通院負担を軽減し、慢性疾患の継続受診や検査結果説明、在宅医療のフォローなどに活用できる可能性がある診療方法です。医療機関にとっても、患者様との接点を広げ、診療メニューを柔軟に設計する選択肢になります。
一方で、オンライン診療は対面診療の完全な代替ではありません。触診や検査、処置ができないため、医師が得られる情報には限りがあります。症状や診療内容によっては、対面診療へ切り替える判断が必要です。
導入する際は、厚生労働省の指針、令和8年4月1日から施行されている医療法上のルール、医師向け研修、診療報酬、施設基準、本人確認、診療計画、患者様説明、処方制限、医療情報システムの安全管理を確認しましょう。制度や診療報酬は変更される可能性があるため、最新情報を確認しながら運用することが重要です。
オンライン診療は、ビデオ通話機能だけで完結するものではありません。予約、Web問診、電子カルテ、決済、処方、オンライン服薬指導、次回予約までを一連の流れとして設計することで、医療機関にも患者様にも使いやすい運用につながります。
まずは対象患者様や診療内容を限定して試験導入し、運用上の課題を確認しながら段階的に広げていくことが大切です。自院の診療スタイルに合わせて、対面診療とオンライン診療を適切に組み合わせましょう。
オンライン診療だけでなく、予約、Web問診、電子カルテ、決済、薬局連携まで含めて医療DX全体を見直したい場合は、関連するテーマもあわせて確認しておくと検討しやすくなります。
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